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「アイシテル ~海容~」,最終回を迎えました。 [ドラマ]

少年清貴くんを殺害してしまった少年,智也くん。家庭裁判所調査官の富田さんにそっと促され,少しずつ事件の概要を話し始めます。
そして,家庭裁判所の審判廷において智也くんの書いた日誌が公開され,これまで智也くんの心に秘められていた事件の動機などが明らかにされました。

母を想うあまりに,母を,家族を「ヘンだ」と言った清貴くんを,時の感情に任せて殺めてしまった智也くん…。ホームレスのおばさんに抱きつかれた事件以来,母さつきへは拒絶感を持っていたと想っていただけに,この動機には驚然とするとともに,胸に熱いものを感じました。

審判の結果,智也くんは自立支援センターへ送られ,そこで一年間を過ごすことになります。
さつきとの別離で,智也くんは母さつきに抱きつきたい腕を,躊躇し堪え,断念する。母のために殺人を犯した少年は,また母を想って,母に甘えるのを堪えるのでしょうか。智也くん,見た目も大人っぽいですが,精神年齢も高い設定なのでしょう。気持ちを抑えたまま,施設に向かう車の中で一人涙します。本番組中,こうした智也くんの表情を見るのは初めてのような気がして,また熱いものがこみ上げました。


さて,一年が経過し,智也くんは社会に復帰します。しかし,やはり学校などにはもちろん,家族にもすんなりとは融け込めない様子…。
両親や祖母が気にかける中,智也くんはその心情を吐露。

「僕は,生まれて来ちゃいけなかったんだ!」

母さつき,この言葉にカッとなって,智也くんの頬を強かに打ちます。そして,涙ながらに我が子を抱きしめて,ドラマのタイトルともなっている大切な言葉を紡ぐのでした。

本作品は,前編を通して家族愛をテーマとして描かれていますが,このシーンにあって智也くんが母さつきから感じていた拒絶の壁が打ち崩され,また家族に戻れたのだろうと思いました。翌日,智也くんは父和彦が買ってきた服を着て,さつきに久方ぶりの挨拶をして学校に行きました^^


そして,さらに一年後。
智也くんに弟が誕生します。新たな命の誕生を目の当たりにして,自分が奪った「命」というものの尊さを思い知った智也くん。被害者の母聖子が願っていたよりずっと早く,智也くんは命の重さを知るのでした。

最終的には,被害者家族も自分たちが前に進むために,子供が殺された事実を受け入れ,認容したかたちとなりました。聖子は同じ母としてさつきの苦しみを理解し,さつきの気持ちを酌み取ります。


終わってみて思うのは,加害者も被害者もこのように苦しむ事件が現在も起こり続けており,自分もまたいつでも加害者に,また被害者になり得るかも知れない事実。我が事に置き換えて考えると,慄然とします。

嗚呼願わくば平穏な日々…。


ドラマも見終わったことなので,いよいよ原作の方を読もうかなぁ。


アイシテル~海容 後編 (2)

アイシテル~海容 後編 (2)

  • 作者: 伊藤 実
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/03/06
  • メディア: コミック



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